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「ファイトケミカル」って何でしょう?
●ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、野菜、果物、海藻などの植物に含まれる化学成分(機能性成分)のことで、フィト=植物、ケミカル=化学成分という意味です。植物が紫外線や有害物質、害虫などの害から自分の身を守るために作る、「色素、香り、苦味、渋味、辛味、アク、ネバネバ」などの成分です。
機能性成分とは、人にとって生きていくために必須な栄養素ではないけれど、「抗酸化作用がある、健康を維持する」など、さまざまな機能的な効果が期待される成分のことです。
数千種類以上あるファイトケミカルは、抗酸化作用を持つものが多く、抗酸化作用による「免疫力向上、老化予防、代謝の促進、脳機能の強化」など、さまざまな働きがあると言われています。「β-カロテン」「アントシアニン」「リコピン」など、耳にしたことがあると思いますが、これらもファイトケミカルです。
しかし、人はファイトケミカルを作ることができないので、必要なときに野菜や果物などの植物から摂取する必要があります。
ファイトケミカルは、生きるために必要な、5大栄養素(たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル)、第6の栄養素と言われる食物繊維ではありませんが、健康を維持するために摂取したい重要な成分です。
●“活性酸素が増えると体によくない”と、よく耳にします。がん・動脈硬化・糖尿病・老化現象など多くの生活習慣病の原因のひとつとして、活性酸素が取り上げられています。
活性酸素とは、「酸化させる力が非常に強い酸素」のことです。殺菌力が強く、体内では細菌やウイルスを殺す機能として働いたりしていますが、増えすぎると、正常な細胞や遺伝子も酸化させてしまいます。
地球の空気には酸素が21%含まれています。私たちは呼吸によって酸素を体に取り入れていますが、そのうちの約2~3%が活性酸素になるといわれています。
体に良い働きをする活性酸素ですが、紫外線・大気汚染・ストレスなどによって過剰に作り出されてしまうことがありますが、私たちの体には、活性酸素から身を守るため、酸化を抑えるしくみがあります。
ところが中高年になるにつれて抑える力が弱まり、反対に活性酸素の働きが強まって、体のあちらこちらが酸化し悪い症状が出てきます。
●ファイトケミカルを摂取することは腸内環境にも影響します。食生活の乱れやストレスなどによって、腸内環境のバランスが崩れたとき、悪玉菌が増殖します。
悪玉菌が増殖すると有害物質を生み出し、その有害物質を無毒化するために活性酸素が増えます。しかし、腸内で活性酸素が増え過ぎてしまうと、正常な細胞も傷つけてしまいます。
腸内の活性酸素の増え過ぎを抑えるには、いろいろな種類の野菜を食べることが大切です。野菜には、善玉菌を増やすエサとなり、悪玉菌の増殖を抑える食物繊維が多く含まれ、さらに活性酸素を減らすためのファイトケミカルも多く含まれているからです。
●「風邪をひきやすくなった」、「疲れがとれない」、「肌荒れやしみが増えた」などの症状があれば、抗酸化力を持つファイトケミカルを含む野菜を積極的に食べて、活性酸素を減らす生活を心がけましょう!
ファイトケミカルが、より多く含まれる野菜は、「モロヘイヤ」、「ブロッコリー」、「小松菜」だそうです!
「ファイトケミカル」の種類と期待できる効能は?
ファイトケミカルは、約1万種類もあると言われており、大きく5種類に分けられています。「①ポリフェノール系、②カロテノイド系、③イオウ化合物、④テルペン系、⑤多糖類」です。この5種類を1つづつ、少し詳しく見ていきましょう!
耳にしたことがある名前があると思います。
①ポリフェノール系の種類
★アントシアニン
青紫色の水溶性天然色素で、1000種類以上あると言われています。主に、色の濃い青紫・黒・赤色の野菜や果物に含まれています。眼の機能改善や疲労予防に効果があるとされ、種類によりますが、ほとんどが強力な抗酸化作用を持っています。また、腸内で変化し、動脈硬化の進行を抑える作用があることもわかってきています。
含まれる食品:赤ワイン、ブルーベリー、カシス、赤たまねぎ、なす、赤しそ、紫いも、紫キャベツ、ぶどう、黒豆 など
★カテキン
お茶の葉に含まれている苦味や渋味の成分で、強い抗酸化作用や殺菌・抗菌作用を持ち、細菌やウイルスから体を守る効果があるといわれています。また、血糖値の上昇を抑え、血中コレステロールの低下や血圧の上昇を抑える働きが期待されます。抗酸化物質であるビタミンEの約50倍の抗酸化作用があるといわれています。
含まれる食品:緑茶、紅茶、ウーロン茶、番茶、ほうじ茶 など
★ケルセチン
主に、たまねぎなどの野菜に多く含まれている成分です。特に、たまねぎの皮に多く含まれています。抗酸化作用で、血液サラサラ効果や動脈硬化を予防する効果などで知られています。
含まれる食品:たまねぎ、りんご、緑茶、そば、柑橘類
★イソフラボン
主に大豆の胚芽部分に多く含まれ、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをし、更年期症状をやわらげ、骨粗しょう症の予防や美肌効果が期待されます。
含まれる食品:きな粉、大豆、大豆製品 など
★クロロゲン酸
コーヒーの褐色、苦味などの成分です。強い抗酸化力をもち、糖質の吸収を緩やかにし、中性脂肪のため込みを抑制する効果や脂肪燃焼を促進する効果も期待されます。また、血糖値の上昇を抑える働きもあるといわれています。コーヒーは、ブラックコーヒーの方が効果があり、食後に飲むとより効果的です。また、深煎りより浅煎りの方がクロロゲン酸は多いそうです。
含まれる食品:コーヒー、なす、ごぼう など
②カロテノイド系の種類
★β-カロテン
黄色やオレンジ色の色素で、緑黄色野菜などに多く含まれ、強力な抗酸化力を持っています。体内では必要に応じてビタミンAに変換され、粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保つ効果が期待されます。脂質とともに摂ることで吸収率が高まり熱にも強いので、油で調理すると効率良く吸収できるといわれています。
含まれる食品:にんじん、モロヘイヤ、ほうれんそう、かぼちゃ、バジル、ブロッコリーなど緑葉色野菜、かんきつ類
★リコピン
赤色の色素で、強力な抗酸化作用を持ち、血流を改善する効果や、生活習慣病を予防する効果が期待されています。
含まれる食品:とまと、すいか、あんず、かき、パパイヤ、マンゴー、金時にんじん、ケチャップ
★ルテイン
黄色の色素成分で、強力な抗酸化作用を持ち、緑黄色野菜などに多く含まれています。
目の健康をサポートする働きが期待できます。紫外線などから目を守り、加齢黄斑変性や白内障など、加齢による目の病気の予防や改善に効果があると言われています。
含まれる食品:にんじん、かぼちゃ、ブロッコリーなどの緑葉色野菜、卵黄
★β-クリプトキサンチン
オレンジ色の色素成分で、特に温州みかんに多く含まれています。抗酸化作用で、高血圧や動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症などの予防効果が期待されています。
含まれる食品:温州みかん、ぽんかん、デコポン、パパイヤ
③イオウ化合物の種類
★アリシン
生のにんにくなどに含まれるアリインという成分が、切ったり、すりおろしたりして細胞が壊れる時に生成される成分です。特に、にんにくに多く含まれており、疲労回復、強い殺菌効果があるといわれています。
含まれる食品:にんにく、たまねぎ、ねぎ、にら
★スルフォラファン
アブラナ科の野菜に含まれる辛み成分で、特にブロッコリースプラウトに多く含まれています。強い抗酸化作用を持ち、肝機能や免疫力の向上にもつながるといわれています。また、老化防止や美肌に対する効果が期待されています。
含まれる食品:ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、菜の花、だいこん、かいわれだいこんなど
④テルペン系の種類
★リモネン
リラックス効果があるといわれている香り成分で、交感神経を活性化させて血管を広げ、血流改善を助ける働きが期待されています。
含まれる食品:柑橘類
★メントール
リラックス効果と覚醒効果の両方を持ち合わせるので、不安やイライラを鎮静する一方で、頭をスッキリさせる働きも期待できます。
含まれる食品:ハッカ
⑤多糖類
★イヌリン
水溶性食物繊維の一種で、善玉菌を増やし腸内環境の改善、血液中の中性脂肪を下げる効果、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待されています。
含まれる食品:きくいも、チコリ、にんにく、ごぼう、たまねぎ、ニラ
★フコイダン
海藻類のぬめり部分に含まれている成分です。免疫力を高めたり、ウイルスの増殖を抑える働きが期待されます。また、抗アレルギー作用や、胃粘膜を保護する効果も期待されます。
含まれる食品:もずく、ひじき、こんぶ(特にがごめ昆布)、めかぶ などの海藻類
★β-グルカン
不溶性の食物繊維で、免疫力の強化やコレステロール値の上昇を抑える働きが期待されています。また、ウイルスや病気から体を守る働きがあるといわれています。
含まれる食品:椎茸、舞茸などのきのこ類、酵母、オーツ麦、大麦
★β-Dグルカン
免疫力を高める効果とガン細胞の抑制作用が注目、期待されています。
含まれる食品:サルノコシカケ科、シメジ科、ハラタケ科のきのこ
★ペクチン
りんごや柑橘類に豊富に含まれる食物繊維です。コレステロール値、血糖値の上昇を抑える効果、便秘・下痢の解消効果が期待されます。
含まれる食品:りんご、いちご、柿、みかん、オレンジなどの柑橘類、桃、オクラ
★サポニン
植物の茎、根、葉などに含まれる苦味やエグみなどの成分です。殺菌・抗菌作用があり、コレステロールを除去したり、血栓ができにくくする働き、脂質の生成を抑制する効果が期待されます。
含まれる食品:大豆、田七人参、高麗人参、にんじん