野菜の栄養を効率よく摂りましょう!

栄養を効率よく摂る食べ方と調理は?

野菜は、調理の仕方によって含まれる栄養素の質や量が変化してしまいます。生で食べた方が良いものもあれば、調理した方が良い野菜もあります。生でも加熱しても良いものもあります。
また、含まれるビタミン(水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」)の種類によって調理の方法を変えると吸収率が良くなります。
調理することのメリットもいろいろとあります。野菜に含まれている有効なビタミンやミネラル、ファイトケミカルなどの有効成分は、植物の細胞の中にあります。しかし、植物の細胞は周りに細胞壁があり、人間は細胞壁の成分であるセルロースを分解する消化酵素をもっていません。また、この細胞壁は、噛む程度では壊れにくいため中の有効成分が十分吸収されずに、体外に排出され無駄にしてしまう成分も多いです。細胞壁は、加熱調理すると壊れて有効成分が吸収されやすくなります。
では、野菜によって、どの調理法が向いているのか見ていきましょう!
※野菜は、なるべく農薬や除草剤を使っていないものを選ぶようにしましょう!

①生
生でサラダでも加熱調理でもいい『にんにく・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・ケール・にんじん・たまねぎ・ビーツ・水菜』。また、消化酵素などが含まれている、『大根・かぶ・やまいも』などは、すりおろして細胞が壊れることで吸収が良くなります。すりおろした後の汁にも酵素が含まれているので捨てずに食べましょう。『にんじん・かぼちゃ』のような緑黄色野菜は、脂溶性のビタミン(A・DEK)やカロテンなどが豊富に含まれているため油と一緒に摂取するといいので、サラダで食べる時はオリーブオイルなどの油が入ったドレッシングを使うと吸収が良くなります。
②炒める(ソテー)
向いている野菜は、『人参・ほうれん草・かぼちゃ・とまと・小松菜』などです。特にカロテンを含む緑黄色野菜は、油を使って炒めることで吸収率が良くなります。また、とまとも生で食べるよりも火を通した方がリコピンの吸収率が良くなります。イタリアでは、とまとをよく使いますが、あまり生で食べることはありません。
③煮る
野菜には、水に溶けやすい水溶性ビタミン(B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチン・C)を含んだものがたくさんあり、茹でたりすると栄養素が流れ出てしまいます。水溶性ビタミンを含む野菜を食べる場合、汁ごと食べられる調理をしましょう。味噌汁などにすれば、無理なく毎日野菜を摂ることができます。
その他、汁ごと食べるカレー・シチュー・スープ・煮込み料理に使うと栄養素を逃さず摂ることができます。
水溶性ビタミンを含む野菜は、サラダなど生で食べるよりも汁ごと食べる料理の方が栄養素を効率よく摂ることができます。
④焼く
電子レンジと変わらないくらい、野菜の抗酸化物質を維持すると言われています。『たまねぎ・いんげん・セロリ』などは、焼きに向いているとされています。なるべく、焦げ付きを防止するコーティング加工をしていないものがいいと言われています。コーティング剤の中には、体に良くない成分が含まれている可能性があります。
⑤揚げる
揚げ物は、油の量が多く健康に良くないというイメージもありますが、抗酸化物質が失われる量が多いため、調理法としては好ましくないと言われています。しかし、脂溶性ビタミンを含む野菜『かぼちゃ・人参・玉ねぎ』などは、油で揚げることで栄養素の吸収率がアップします。また、素揚げより、衣を付けた天ぷらやフライの方が栄養素を逃さず食べることができます。
⑥ゆでる(ボイル)
野菜の中には、ゆでなければいけないものもありますが、“揚げる”と同じようにせっかくの抗酸化物質が失われやすいと言われています。サッと茹でたり茹で汁を野菜スープとして使うなど、溶け出た栄養素も上手に使う工夫をするようにしましょう。
⑦蒸す
水を使わないので、栄養素が水に流れ出しません。また、熱を加えるので生野菜よりも食べる量も増えます。特に『ブロッコリー・ズッキーニ』は、蒸し料理が1番抗酸化物質を残すことができる調理法です。また、蒸し調理の場合、脂溶性ビタミン(A・DEK)もオリーブオイルなどの油が入ったドレッシングなどを使えば吸収率が良くなります。
⑧電子レンジ
水を使わないので野菜の栄養素を損なうこともなく、調理法の中では栄養素を最大限に維持できると言われています。蒸す・ゆでる料理ができない場合も、電子レンジを使えば簡単に調理することができます。
しかし、『カリフラワー』だけは、抗酸化物質を半減させてしまいます。注意しましょう!
⑨オーブン
オーブンでの調理は、じっくりと火を入れることができますが、野菜によって栄養素の残り具合が変わります。『ブロッコリー・ピーマン・アスパラガス』などは、抗酸化物質はほとんど減りません。しかし、『玉ねぎ・ズッキーニ・人参・カリフラワー』などは、抗酸化物質が減ってしまいます。また、『ほうれん草・ナス・とうもろこし・いんげん豆』などは、オーブンで調理することで抗酸化物質の量が増えるます。肉といっしょにオーブンで調理する場合は、抗酸化物質の増える野菜を一緒にすれば栄養素を上手に摂ることができます。
⑩野菜ごとの調理のコツ
●にんじん
生と加熱調理、両方で食べましょう。にんじんには、ポリフェノールが多く含まれますが、ゆでたりして調理すると、ポリフェノールとビタミンCが壊れてしまいます。反対に、加熱調理すると、生より免疫力をアップさせる効果があるβ-カロテンを多く摂れるといわれています。また、β-カロテンは、油と一緒にとれば吸収率がぐんと高まります。にんじんの中では皮の部分に1番多く含まれていると言われており、皮を剥いてしまうとβ-カロテンの量がかなり減ってしまいます。なるべく農薬などを使わず栽培したものを食べるようにして、皮ごと食べるようにしましょう!
●ブロッコリー
生と加熱調理、両方で食べましょう。また、他のアブラナ科の野菜(キャベツ、カリフラワー、ケール、など)も、生のままでも調理しても良いです。
切って5分くらいおいておくと、がん抑制作用があるといわれるスルフォラファンの活性が高まるそうです。加熱する場合は、レンジ蒸しがお薦めです。ラップで覆い、電子レンジで調理すれば、ビタミンも流出しません。
また、加熱すると発がん性物質を取り除いてくれるミロシンという成分が壊れてしまいますが、加熱
調理するとインドール化合物という発がん性物質と戦う成分が生成されます。
ビタミンCや食物繊維は、茎の部分に多く含まれます。
●ミニとまと・とまと
加熱調理して皮もいっしょに食べましょう!とまとを加熱すると抗酸化作用のあるリコピン・β-カロテン・ルチンの量が増え、より多く摂ることができるようになります。また、オリーブオイルなど、油で調理すると生のまま食べるよりもリコピンの量が増えて吸収率が増します。
●ビーツ
「奇跡の野菜」、「食べる輸血」と言われるくらい栄養が豊富です。カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、リンなどのミネラルやビタミンA、ビタミンB群、葉酸、食物繊維、高い抗酸化作用のある赤い色素のベタシアニン、黄色い色素のベタキサンチン、血管拡張作用のあるNO(一酸化窒素)の体内での生産を促進する成分など、ほかの野菜にはなかなか無い成分が含まれています。
なるべく生で食べましょう。加熱すると、葉酸が2~3割減るといわれています。
ゆでる場合は、必ず皮付きのままゆで、その後皮をむいてください。皮をむいてゆでると、抗酸化作用を持った大切な色素である、ベタシアニン、ベタキサンチンが流れ出てしまいます。ウクライナの郷土料理ボルシチなどのスープに使う場合は皮をむいてから調理してかまいませんが、ビーツの実はもちろん、スープもいっしょに飲むことで、含まれるさまざまな栄養をしっかり摂ることができます。
●たまねぎ
なるべく生かスープで食べましょう!辛み成分、硫化アリルは、空気に触れることで”血液サラサラ成分”のアリシンに変化するので、細かく切って10分くらい空気にさらすと良いです。玉ねぎをサラダに使う時、水にさらせば辛みが取れて食べやすくなりますが、玉ねぎに含まれる血液サラサラ効果のある「アリシン」が水に流れ出てしまいます。サラダで食べる場合は、ドレッシングや酢につけておくと辛みもなくなります。つけこんだドレッシングや酢も一緒に食べましょう。また、短時間加熱することで増える有効成分もあります。
赤たまねぎの方が、黄たまねぎより抗酸化成分のフラボノイドを多く含んでいます。
●パプリカ・赤ピーマン
生で食べましょう。190度以上の高温で調理するとビタミンCが壊れてしまいます。また、パプリカに多く含まれているビタミンCは水に溶けるので、ゆでると、ビタミンCが水に溶け出してしまいます。縦方向に繊維に添って切ると栄養を逃しにくいです。生で食べる場合は、食感が柔らかくなる輪切りがいいですが、栄養が流れ出しやすいので、切ってから早めに食べましょう。ワタと種には血栓予防作用のあるピラジンが豊富です。取らずに肉詰めなどでいっしょに食べましょう。
●ほうれんそう
生のほうれんそうの鉄分は、自身に含まれるシュウ酸によって吸収を妨げられていますが、加熱することで熱がシュウ酸を分解してくれるので、摂ることが出来るようになります。さらに、カルシウム、マグネシウムの摂れる量も増えます。生で食べても大丈夫ですが、なるべく加熱調理しましょう!ゆでるよりも蒸す方が良いです。レンジ蒸しがお薦めです。ラップで覆い、電子レンジで調理すれば、ビタミンも流出しません。
●レタス・キャベツ
レタスやキャベツを水にさらすと、ビタミンCやカリウムは水溶性のため流れ出てしまいます。特に、切った後に水にさらすと、切った断面から栄養素が流れ出てしまうので、切る前に冷たい水につけて、シャキッとさせましょう。また、レタスは包丁など刃物(金属)で切るとレタスに含まれるポリフェノールが酸化して赤くなるので手でちぎるようにしましょう。
●じゃがいも
じゃがいもに含まれるビタミンCは水溶性のため、ゆでるとせっかくのビタミンCやカリウムも水に流れ出てしまいます。スープ・カレー・シチューなどゆで汁も一緒に食べる料理の場合は、皮を剥いて調理しても構いませんが、サラダなどは皮を剥かずにゆでたり蒸したりして使うようにしましょう。また、皮にはクロロゲン酸(コーヒーに多く含まれるポリフェノール)が含まれており、なるべく皮つきで食べるようにしましょう。

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